3度目の防衛戦。落ち着き払ったチャンピオンは、今やTEIKENのエース格。ロングレンジから放たれる左ストレートは強烈な破壊力を持つ。
「マルコムは友人だけど、負けるわけにはいかない」
35歳の元WBC世界フライ級王者は、チャンスを求めて日本の真正ジムへ移籍。ようやく念願かない、実に12年ぶりに世界タイトルマッチのリングに登場。ここ6年間、負け知らず。この試合に全てを賭ける。
気合十分の富樫リングアナウンサー。しかし、力が入りすぎたか、「アラ、やっちゃった!」(^_^;)
いや、プロらしくうまくまとめました。さすが!('-^*)/
試合開始。
早いジャブの差し合いから始まった第1ラウンドは、ジャッジ3者が揃って王者にポイントを与えた。
しかし、気力充実のツニャカオ選手も強気の姿勢を変えない。
そして迎えた第3ラウンド。
王者の鋭いリードから得意の左がヒットすると、挑戦者はキャンバスへ落ちる。
さらにダウンを追加したチャンピオンだったが、挑戦者も必死に抵抗。
辛くもKOを逃れたが、ジャッジ2者が王者の10-7とした。
コーナーでも余裕が伺える山中選手。
左頬の腫れは、ツニャカオ選手の右フックによるものだろう。
得意の左ストレートを上下に打ち分けるチャンピオン。
挑戦者は右フックに活路を求める。
緊張の攻防戦が繰り広げられた。
王者のパンチによって右目上をカットした挑戦者。
出血に悩まされながらも、この一戦に賭ける強い気持ちは見る者に十分に通じた。
第10ラウンド。大槻コミッションドクターが傷のチェック。
「続行OK!」。自信の目である。ドクターも気合が入っています。
ラストラウンド。
チャンピオンは明らかにフィニッシュを狙ってスパート。
激しい闘志で抵抗を続けてきた挑戦者だが、力ずくでキャンバスへ這わされた。
カウントを聞きながらコーナーを見やる挑戦者。
そこにはあきらめの表情が・・・。
マイケル・グリフィン(カナダ)主審はここで試合をストップ。TKOタイム12回1分57秒。
しかし、挑戦者はよく戦った。
「山中じゃなかったら勝てるぞォ~!」
試合が終われば元の友達。
激闘を展開した勝者と敗者は、しっかりと抱き合った。
勝者も敗者も素晴らしい。無機質ではない、ボクシング特有の感動があった試合でした。
左は 林 有厚JBCコミッショナー、右はマウリシオ・スライマンWBC事務局長。
スコアカードからも、挑戦者の抵抗の後がうかがえる。
プロ入り当初は練習で学んだことを試合で半分もできず、「何度も周りから『もうやめさせた方がいい』と言われて……。その度に2人で反省した」という、山中選手と大和トレーナーのコンビ。
09年以降の12戦で倒せなかったのは、ビック・ダルチニャン(豪)とのV1戦のみという山中選手の変身ぶりの陰には、トランクスに縫いこんだ盟友、故・辻昌建(帝拳) 選手への強い想いがあろうことも、見逃してはいけない。
帝拳ジム浜田剛史代表は、「一戦ごとに落ち着きが出た。パンチを打ち込む見極めが良かった」。
18勝(13KO)2分と、無敗レコードをのばしたチャンピオンは、念願の米国進出も近そうです。
大いに楽しみにしたいですね。
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