先ごろ、一部スポーツ紙が廃止と報道したWBA(世界ボクシング協会)の”暫定”世界王者。WBAヒルベルト・メンドサJr副会長は、「事情があれば暫定王者の防衛戦を認める場合もある。しかし、早急に正規王者と暫定王者による王座統一戦を実現させていく。」としていた。
しかしWBAは、Sミドル級暫定王者ブライアン・マギー(英)の7ヶ月ぶりとなる試合を、暫定王座防衛戦として認定する方向。試合は2月18日、デンマークに於いて、地元の11位ルディ・マークッセン相手に開催される。
一つ認めたら我もと続くのは世の習いである。
昨年1月、意味もなく作られたバンタム級暫定王者ウーゴ・ルイス(メキシコ)は、人気者の5階級制覇王者ホルへ・アルセ(メキシコ)の実弟フランシスコとの初防衛戦に勝つと、強制されたわけでもなくダイレクトリッマッチに挑みV2達成。
「やりたいヤツばっかり選んでたら、暫定チャンピオンは何度でも防衛出来ちゃうんじゃないの?」
「今度はさすがに統一戦になるんじゃないですか。」と思っていたら、興毅 指名試合の交渉決裂・・・V4戦は相手選べる選択試合に(スポーツニッポン) 。
WBAは正規王者亀田興毅(亀田)選手とルイスの王座統一戦を指令。亀田陣営はメキシコで交渉を行ってきたが、ルイス側は3月17日に地元で3度目の防衛戦を予定。4月4日に日本でV4戦を計画する亀田陣営との交渉はまとまらなかった。
25歳、29勝(26KO)1敗と立派な戦歴を誇るルイスだが、暫定王座を獲得する前までの27戦のキャリア全ては、前の試合で負けた選手ばかりが相手と、大事に作られたという印象が強い。メキシコでルイスの試合を観た野木丈司氏も、「そんなに強くないですよ」。
ともかくWBAは、「3月に試合をするルイス陣営の主張を認める」。これは暫定王座防衛戦を認めるということ。そして指名試合期限を越えている興毅選手には、「年内に指名試合をするように」との通知がなされた。
「今後、意味のない暫定王者は作らない」ということにはなったが、指名試合義務を課されない現存暫定王者は、”永遠に不滅です”という感じ。さすがにというべきか、WBAの指令には王座統括団体としての威厳はまるでない。
その昔、WBAは強かった。強い選手をランキング1位に置き、チャンピオンには指名試合を迫る。「90日以内に対戦を義務付ける」はよく聞いた言葉ですね。そして、「対戦に応じない場合は王座を剥奪する」。これは全く聞かなくなりましたが。(^_^;)
「具志堅さんの頃は6ヶ月に一度は指名義務付けってことありましたからね」
「西城さんなんか、一度は剥奪ですからね」
最強の挑戦者アントニオ・ゴメス(ベネズエラ)との対戦交渉がまとまらず、一度は王座を剥奪された西城選手。
「ボクシング・マーケットの動向と力関係に注目し、ボクサーたちにより多くのチャンスを授与する目的でタイトルを設けてきました」
「多くのボクサーにチャンスがめぐり、それにともない審判、プロモーターが潤い、一般のファンも満足する機会が増えるのです」
「複数チャンピオン制度は拮抗した好ファイトがより多く提供されると信じています」
WBAメンドサJr副会長の言葉である。
「正規世界王者との混乱を避ける為に、全ての暫定王者を1位にランクした。」のはよいが、「暫定王者は世界王者でもあり、指名挑戦者でもある。」としているならば、挑戦する意志のない指名挑戦者は、その地位が保全されるべきではない。
「世界王座を統括する側が、一番わかりにくくしちゃってるんですよねェ」
「自分で自分の首、絞めてるようなもんですよ」
今年中には全ての階級から、意味のない暫定王者が無くなることを願うのみです。
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