五輪二連覇、世界選手権三連覇というとんでもない実績を手土産にプロ転向を果たした中国人ボクサー、ゾウ・シミン。デビューの４回戦から破格の３０万ドル（約３千万円）というファイトマネーを得た“黄金の拳”は、「８戦目で世界王者になったレオン・スピンクスよりも少ない試合数で世界王者になる」（フレディ・ローチ）。
４月６日、マカオのベネチアン・リゾート・ホテルで行われた初陣は、ダブル世界戦を押しのけてのメインイベント。
ボブ・アラムが着目した、マカオ・ボクシング・マーケットの旗頭は、アジアから世界のスーパースターを目指す。
前日公式計量は、５０．３キロのフライ級。ゾウ・シミン。
対戦相手、エレアサル・バレンスエラは、２勝（１ＫＯ）１敗２分のメキシカン。
試合は４ラウンドを戦い、ジャッジ全員が４０－３６というゾウ・シミンの圧勝。
しかし、「パンチが軽いです。あれなら井上の方が、切れも重さもありますね」（山田純夫氏）
“黄金の拳”は、ローチから贈られたウィニングのグローブも国民感情を意識して使用を控えるなど、中国国民の強い期待を背負っていることを自認している。
中国にはボクシング・コミッション整備されておらず、今回はWBO系の中国人一派が、CPBO(CHINA PROFESSIONAL BOXING ORGANIZATION )を設立し、興行を取り仕切った。
ゾウ・シミンのプロ第２戦は７月２７日、再び同地で開催される（相手未定）。
他にゾウ・シミンの前座で世界フライ級王座を獲得した、ＷＢＯ＆ＷＢＡスーパー王者フアン ・ フランシスコ ・ エストラーダ（メキシコ）の初防衛戦がセットされ、２９戦全勝のＷＢＯ１位ミラン・ミレンド（比）の挑戦を受ける。
そして３月１日に、代打でビリー・ディブ（豪）からＩＢＦ世界フェザー級王座を奪ったエフゲニー・グラドビッチ（ロシア）が、マウリシオ・ムニョス（亜）=西岡利晃（帝拳）選手に９回ＫＯ負け＝とのＶ１戦に挑む。
アラムがプロモート権を持つフライ級ＷＢＡ＆ＷＢＡスーパー王座がゾウ・シミンのターゲットたるや知れないが、今後の動向によってはＬフライ級王座に食指を動かすことも十分考えられる。そして、３２歳のゾウ・シミンはローチの言葉通り、この先を急ぐだろう。
「もはやアメリカで戦うことは、それほど大きなことではなくなるだろう」
さらに、「ゾウ・シミンは引退するまでに、これまでのパッキャオのどんな試合よりも大きなファイトマネーを手にすることになる」と、アラムは予言する。その場はマカオ。
２階級制覇王者井岡一翔（井岡）選手、日本の”怪物”井上尚弥（大橋）選手らには、ぜひとも、ゾウ・シミンの前に立ちふさがってもらいたいものである。
応援、深く感謝です！→
【ブログ・TOP】
