16日、大阪府立体育会館。WBC世界バンタム級タイトルマッチ。チャンピオン山中慎介(帝拳)選手は、これが8度目の防衛戦。滋賀県出身、準地元での試合に張り切る王者は、「神の左」でKOを狙う。
挑戦者は同級7位ディエゴ・サンティリャン(亜)。これまで23勝(15KO)無敗のレコードを誇る挑戦者は、亡き息子に世界王者になることを誓い、気合十分でリング登場。
試合は初回から山中選手が、右ジャブに続く左ストレートを上下に散らしリード。サンテリャンは早くも鼻血を滴らせた。
山中選手はいつになく右ジャブを多様。このリードパンチで、挑戦者の左目周辺は腫れあがる。
一方的展開で迎えた6回、山中選手の左ストレートでサンテリャンはダウン。しかし、ここは終了ゴングに救われた。
続く第7ラウンド。右でサンテリャンの顔面を起こしたチャンピオンの左が、ドンピシャのタイミングでサンテリャンを捕らえると、挑戦者はキャンバスへ落下。手ごたえ十分の王者は、「もう立ってこないと思った」。
挑戦者は、驚きとあきらめの表情でテンカウントを聞いた。
「山中は偉大なチャンピオン。戦えたことを誇りに思う」
KOタイム7回36秒。自らに合格点を与えた山中選手だが、「正直物足りない。もっとリスクのある選手とやりたい」と、胸のうちを明かしている。
長男・豪祐君と勝利のポーズを決めるチャンピオン。
今後はバンタム世界最強を目指し、他団体の王者との王座統一戦を希望。ラスベガス進出も狙っている。そして、ファンの思いもそこにある。
「防衛回数とか、記録を狙っているわけではない」という本田会長の、次なるマッチメイクに期待。