元2階級制覇王者八重樫 東 (大橋)選手が、5月1日、東京・大田区総合体育館の興行で、ソンセンレック・ポースワンジム(タイ)相手のSフライ級8回戦で、復帰戦に挑む。最強の挑戦者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に王座を追われ、再起戦となったLフライ級王座決定戦でも、キャンバスへ沈んだ元王者は、3度目の世界王座獲得を目指す。
「強い選手に勝ってこそ、本当のチャンピオンだと思う」(八重樫選手)
強打のゴンサレスを相手に、真っ向勝負。敗れはしたが、試合後、ゴンサレスも八重樫選手の強さを認めていた。
再起、即世界戦となったWBC世界Lフライ級王座決定戦では、期待されたものの、ペドロ・ゲバラ(メキシコ)の強烈な左ボディブローの前に、痛恨のテンカウント負け。
アルマンド・トーレス(メキシコ=大関一郎)に接近され、大きな左フックでダウンを奪われたゲバラを見ていると、八重樫選手の強引な接近戦も理解出来るが、流石に世界戦ともなるとゲバラも、不用意に大きなパンチは喰らわなかった。
復帰戦となるソンセレック戦は、調整試合の意味合いが強いが、先を見据える八重樫選手はトレーニングに余念がない。
本日午前中も週3日間通っているという、新宿区のアスレチックジムで一汗。その帰り、新宿3丁目付近で大竹氏が八重樫選手とばったり遭遇。「世界にふさわしい男でした」と、報告がありました。ついでに、「マスター見てると言ってたよ」とのことであります。(^-^)/
さて、八重樫選手は「不死鳥」といわれた師匠・大橋秀行会長の後を追うかのようなリングキャリアに突入する。
強かった 張 正九(韓国)への2度目に渡る挑戦で、世界の壁に泣かされた大橋選手は、90年2月、3度目の正直で、 崔 漸煥(韓国)を9回KOに破っWBC世界ミニマム級王座を獲得。
世界王者不在1年3ヶ月。世界挑戦連続失敗記録は「21」を数え、社会問題にまで発展していた日本ボクシング界の低迷を救ったこの勝利に、後楽園ホールの観衆は涙の大歓声で新ヒーローを称えた。
初防衛に成功した大橋選手はV2戦で、1位の 李 敬淵(韓国)ではなく、3位のリカルド・ロペス(メキシコ)を挑戦者に選ぶ。選んだ理由は、「井岡くん(弘樹)の後ばっかり追いかけている感じで嫌だった」のと、「世界の肩書きがあるのに、相手が東洋ばかりじゃおかしいと思って」。
そして何よりも、アマ、プロ通じ65戦不敗のレコード。ルーベン・オリバレス、カルロス・サラテ他、多数の名王者を育て上げた名匠クーヨ・エルナンデスが、「ロペスは私の最後の最高傑作」と断言。
「世界戦が決まった時が、ロペスの長い時代の始まり」とまで言われたロペスの挑戦を受けることを決めたチャンピオンだが、「怖くて神経性胃炎にもなってしまいましたよ」。
そして試合。やはりロペスは強く、大橋選手は5回で玉砕。試合後、一度は「もう責任ははたした」と引退をほのめかせたが、「不死鳥」は再びリングに復帰。2年4月を耐え忍び、92年10月、不敗のWBA世界ミニマム級王者 崔 煕庸(韓国)に勝って3度目の世界王座を手に入れた。
次なるチャンスが何時、回ってくるとはわからないが、八重樫選手には師匠譲りの「不死鳥」の精神で、3度目の世界王座獲得の時を迎えてもらいたいと思います。