3勝(2KO)5敗1分のジャスティン・ウィリアムズ(米)が、22勝(17KO)2敗のアルフォンソ・ロペス(米)を破った大番狂わせの模様が山田純夫氏から送られてきた。
敗れたりとはいえ、一月前に北米Sミドル級王座を争ったばかりのロペス。この日のウェイトは75キロ。対するウィリアムズは73キロ。元来ミドル級である。重量級とはいえ2キロのウェイト差。
「体が違いすぎるよ。アレじゃあかわいそうだよ」
後楽園ホールでも日本vsタイ戦などでたまに見かけることがあるが、咬ませの条件としてクラスの軽い選手が選ばれることは、ままある。
2月18日(日本時間19日)米テキサス州コーパス・クリスティ・アメリカンバンクセンター。
しかし驚いたことに第2ラウンド、倒れたのは地元のロペス。
2011年を1勝4敗で終えていたウィリアムズは、2連敗中で3ヶ月ぶりのリング。とはいえ、これまで戦ってきた9人の相手のうち4人は全勝。とにかく数字がいい選手とばかり戦ってきているのは、たくましい。
どちらが挌上かわからない終盤戦。ロペスの弱気な表情が印象的。
規定の6ラウンドが終了。判定を待つウィリアムズは、「どうかなァ」。ロペスの表情には、「もしかしたら・・・・」。後ろのコロナ・ガールズは、「あんた、やったんじゃないの!」。
そして日本でもおなじみのラファエル・ラモスレフェリーも、「どんなん出ますかねェ」という感じでしょうか。
スコアが読み上げられる。
「57-56」
後楽園ホールの場合、こういうスコアから発表されると、「エッ、そんなことあるの」と不安になる。しかし、続く二人のジャッジのスコアは、「58-55」。「それなら大丈夫だ!」。
歓喜の勝者ウィリアムズは、思わずキャンバスへ顔をうずめる。
感激の勝者は23歳。プロキャリアは2年に満たない。まだ8回戦の経験もないピッカピカの新人だ。
対するロペスのレコードを見ると、キャリア5年の全25戦のうち、前の試合に勝っている選手との対戦は3試合しかない。大事に育てられた温室育ちの弱さが、一気に露呈した形となってしまった。この手の選手は立ち直りが難しいが、ロペスはどう巻き返してくるのだろうか。
1971年のデビューから6連敗。「これで区切りをつけよう」と出場した新人王戦で初白星。あれよという間に西日本新人王を獲得。惜しくも全日本新人王にはなれなかったが、これで自信をつけた新井容日(大星)選手は、一気に借金を精算していく。
初白星からから2年余りを要して、戦績を9勝(1KO)9敗1分の五分にこぎつけた。
出世試合は1977年9月、日本ウェルター級1位・ターザン・桃原(ムサシ)選手を4回KOに降した試合。アマ全日本王者からプロ入り、全日本新人王を獲得し11連勝(9KO)。日本王者柴田賢治(斎田)選手には勝てなかったが、桃原選手は大いに期待されていた。
勝った新井選手は全日本1位に躍進。しかし、敗れた桃原選手は、これ以後ぷっつりと勢いが途絶えた。
そんな新井選手が大きくクローズアップされたのは、1978年6月20日後楽園ホールで元世界王者ガッツ石松(ヨネクラ)選手に判定勝ちした時。
1年2ヶ月ぶりとはいえ、はるかに格下の新井選手に名をさしめた石松選手はリング復帰をあきらめた。次戦で挑んだ亀田昭雄(ミカド→協栄)選手の持つ日本ウェルター級王座挑戦は、フルマークの完敗。
新井選手が5度目の挑戦を実らせ日本タイトルを獲得したのは、プロ50戦目の1982年1月。デビューから実に10年半の時間が経過していた。この時、27勝(12KO)21敗2分。
第13代日本Sウェルター級王者に輝いた新井容日選手の生涯戦績は、28勝(12KO)28敗4分。チャンピオンになった後もたくさん負けた。だけど残した勲章は大きい。
勝てない選手によく新井選手の話をする。やるかどうかは本人次第だが、努力を続けた選手には結果がついてきている。
4勝(2KO)5敗1分としたウィリアムズが、今後どんな道を歩むのか。楽しみにしていきたいと思います。
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