WBC(世界ボクシング評議会)世界Sフライ級王座は1980年2月2日、ベネズエラの首都カラカスで初めての王座決定戦を開催。以後、今日に至る。元々このクラスの新設を訴えたのはOPBF(東洋・太平洋ボクシング連盟)で、前年12月のWBC総会に於いて承認されていた。
第1回発表世界ランキングは以下の通り。1位ラファエル・オロノ(ベネズエラ・前回ノーランク)、2位 李 承勲(韓国・前WBAフライ級5位)、3位ラモン・ソリア(亜・前WBCフライ級4位)、4位ウィリアム・デベロス(比・前回ノーランク)、5位アデライド・ガリンド(メキシコ・前WBCフライ級7位)、6位グスタボ・バラス(亜・前回ノーランク)。
7位ラファエル・ペドロサ(パナマ・前WBAフライ級10位)、8位ハビエル・ゴンザレス(ニカラグア・前回ノーランク)、9位ルイス・イバネス(コスタリカ・前回ノーランク)、10位 丘 勇治(高田次郎・協栄河合・前回ノーランク)。
丘選手(上写真)は、世界バンタム級ランカー磯上修一(辰東)選手と分のいい引き分けを演じ、次の試合でOPBFバンタム級王者村田栄次郎(金子)選手に挑むも、これは完敗。その後、Sフライ級転向を表明していた。丘選手の世界路線は、当時勢いがあったTV朝日の線ですね。
初代王座決定戦は、最初1位オロノvs4位デデロスで予定され、その勝者に2位李vs10位丘戦の勝者が挑むことに決まっていた。しかしその後デベロスが降り、オロノvs李の王座決定戦が決まり、その勝者に日本の代表選手が挑戦ということで話はまとまる。
オロノ10戦全勝(4KO)。これといった相手に勝った実績はないが、ベネズエラ・バンタム級王者。ただし、アマ実績豊富で世界的大会では優勝4回の実績を誇る。21歳、身長173センチの長身ボクサーは、プロ入り僅か1年で世界のチャンスを掴んだ。
一方の李はプロキャリア2年半で、11勝(2KO)2敗。82年にアントニオ・アベラル(メキシコ)からWBC世界フライ級王座を強奪するプルデンシオ・カルドナ(コロンビア)に勝っている星が目立つ。身長172センチ。
ともにオーソドックス・スタイル。長身同士の戦いとなったが、試合の方はテクニシャンオロノが華麗なフットワークと左ジャブを駆使したアウトボクシングを展開。李はオロノを捕まえようと執拗に前進を繰り返すが、モハマッド・アリばりのオロノのフットワークは一向に衰えない。
2回に右手を痛めたというオロノだが、最後まで動き回りダンス&ヒッティングは冴え渡った。15回を終えて発表されたスコアは、韓国人ジャッジが148-147で李。地元ベネズエラ人ジャッジは148-143でオロノ。残る一人、中立国アルゼンチンのレフェリーは150-142。
2-1ながら文句のない判定で、オロノがWBA世界Sフライ級の初代王者に輝いた。だが、この時代は新設されたクラスの世界王者には厳しい見方があった。
「一体、何人世界王者を増やしたら気が済むんですかね。この調子では、将来もっとクラスの細分化が進み、ジュニア(スーパー)と普通のクラスの間にもできかねない」
日本の元王者は、Sフライ級王者誕生をこう嘆いている。ちなみにこの後新設されたミニマム級も、OPBF(タイ)からの提案。
さすがにスーパーと普通のクラスの間には、新しいクラスが新設されていないが、意味のない暫定王者は増産された。しかし、もっと世界王者を増やそうと考えると、クラスをもっと細く細分化なんてことが起こるんでしょうかねェ。(^o^;)
Sフライ級、クルーザー級が新設されたことに対し、米ボクシング・イラストレーテッド誌にはこうある。
「挑戦者よりチャンピオンの数が多くなるのでは?」
「いろいろな種類のチャンピオンはいくら存在してもかまわない。しかし、”世界チャンピオン”は一人だけとするのが、結局はボクシング界の隆盛につながると我々は考える」
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その後、好ファイト、好王者を輩出し、Sフライ級は完全に定着した。そして、WBC世界Sフライ級23代目の王者目指して、佐藤洋太(協栄)が挑む!
被災地復興へ、ボクシング・チャリティオークション 『日本のプロボクシング世界王者で歴代最強は?』
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