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フォアマン&アルレドンド 日本初W世界戦の時代!

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昨年大晦日は、国内2会場で世界タイトルマッチ3試合が挙行された日本プロボクシング界。近頃は世界タイトルマッチが、ダブル、トリプルで開催されることは珍しくない。日本で初めてダブル世界戦が開催されたのは、1973年(昭和48年)のこと。


BOXING MASTER/ボクシング マスター


あのジョー・フレージャー(米)を痛烈にKOして世界ヘビー級王座に就いたばかりのジョージ・フォアマン(米)の初防衛戦と、WBC世界Sフェザー級王者リカルド・アルレドンド(メキシコ)vs挑戦者柏葉守人(野口)のダブルタイトルマッチ。


試合は9月1日(土)。会場は日本武道館。世界ヘビー級戦の試合開始は真昼の12時半とされた。これは米国の金曜夜の時間帯に併せ、クローズド・サーキットの売り上げアップを狙ってのこと。当時の日本は、週休2日ではなく、土曜日は半ドン。


世界ヘビー級王者フォアマンが日本へやってくることになったのは、この試合のマッチメイカー元日本&東洋Sウェルター級王者溝口宗男氏が、王者のマネジャー兼トレーナーであるサンディ・サドラー(元世界フェザー級王者=金子繁冶と対戦)に現役時代教えを受け、その後も親しい関係にあったというのがものをいった。


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ナポレスvs反町。


和歌山に設立された溝口会長のマックスボクシング・グループは、前年11月、無敵の世界ウェルター級王者ホセ・ナポレス(メキシコ)を招き、東洋ウェルター級王者 龍 反町(野口)選手と2ラウンドのエキジビションを実現させていた。


38戦全勝(35KO)のフォアマンに挑むのは、ジョー・キング・ローマン(プエルトリコ43勝7敗1分)。このカードが発表された時にはWBC10位にランクされていたが、WBAはノーランク。これは試合から遠ざかっていた為で、7ヶ月ぶりの前哨戦に楽勝したローマンのランク復帰を誰もが期待していた。


しかし、この試合の承認は大きくもめる。WBAは最後まで強行に承認を認めない姿勢を崩さなかった。ローマンを挑戦者に指名したのは、王者のサドラーマネで「初防衛戦は楽な相手とやらせたい」との思惑からだ。


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フォァアマンとサドラーマネジャー。


最後はJBC菊池弘泰事務局長の、「WBAが友情と良識と勇気を持って、この試合を承認してくれるよう期待して」の努力が実を結ぶことになるが、関係者はテンヤワンヤであった。


この試合の放映はTV朝日(NET)で、創立15周年記念番組として製作。正午から2時まで生中継し、夜8時からヘビー級戦の後に行われるSフェザー級戦の録画を含めた再放送というスケジュール。


日本武道館の特別席は、スポーツ興行史上最高の5万円。自由席は2千円で、小中学生は5百円に押さえられた。時代はインフレ。不景気と共にボクシング界は、輪島功一、柴田国明の2世界王者の活躍。上原兄弟、ロイヤル小林、バズソー山辺、豊島政直選手ら若手の台頭で人気を盛り返し始めていた。


TV局界は4月から月曜夜8時~9時の総合スポーツ番組の枠内で放映(ボクシングは2ヶ月に1度)を開始したTV東京をはじめ、各局が定期番組再開の動きを見せている。


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そして米ニューヨークでは9年ぶりにボクシング定期番組が再開された。1944年から20年間続いた定期番組は、人気を得るにしたがって、各放送局が争ってボクシングを放映。その結果、「放映に登場するボクサーの著しい質の低下。つまらないカードが乱造」につながった。


これに歯止めをかけるべく、MSG(マジソン・スクエア・ガーデン)のプロモーター、ジム・ノーリスは全米各地から優秀ボクサーを見つけ出しては契約し、質の高いマッチメイクを実現させようとしたが、”独占禁止法”に抵触するとの理由で、ノーリス主宰の国際ボクシングクラブは解散に追い込まれる。


結果。カードの質の低下は歯止めが効かなくなり、TV局は離れ、ボクシングは大衆の支持を失った。


その後、1968年に移転したMSG内にハーリー・マークソンの提案で併設されたのが、4千人収容のフェルト・フォーラム。入場料金を3ドル(約900円)と5ドル(約1500円)の低料金に設定し、再開されたボクシングファイトは、徐々に人気を取り戻す。それがTV放映へとつながった。


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フォアマンvsローマン。


9月1日。8千人の観衆を集めて挙行された日本初のダブル世界タイトルマッチは、あっけない結末となる。


フレージャーを圧倒したジャマイカの惨劇で、”牛をも殺す”と形容されたフォアマンのパンチは、初回から10キロも軽いローマンを問題とせず、挑戦者は僅か120秒で失神。フォアマンには、『史上最強』の声があがった。


次の防衛戦でモハマッド・アリのアゴを割った男ケン・ノートンをも問題とせず、2回KOに打ちのめすフォアマンは強すぎた。


ノンタイトル戦で2連敗を喫していた日本人キラーのアルレドンドに対し、今度こそはの期待が集まった7連続KOの柏葉選手だったが、相手に打たせてから反撃のシナリオは巧者のチャンピオンには通ぜず、全く一方的に攻め立てられた挙句、6回1分26秒TKOで夢は無残に打ち破られた。


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アルレドンドvs柏葉。


しかし、アルレドンドの世界戦での勝利はこの試合が最後。次のノンタイトル戦で上原康恒(協栄)選手に苦杯をなめ、柴田国明(ヨネクラ)選手に王座を明け渡し、続いてアルフレッド・エスカレラにも敗れた。


息を吹き返した米国ボクシング界は、紆余曲折を経ながら今日の隆盛につなげている。クローズドサーキット方式から、PPV(ペイパービュー)スタイルへの移行が、莫大な売り上げを生み出しているのは皆様ご存知の通りです。


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