７月８日に初防衛戦を控えるＷＢＣ世界Ｓフライ級チャンピオン佐藤洋太（協栄）選手は、連日スパー三昧で最強の挑戦者シルベスター・ロペス（比）迎撃に余念がない。その一方で王者は、上京以来お世話になっているというガソリンスタンドの仕事も続けている。
【コラム】 給油所でバイトを続ける日本の世界王者（朝鮮日報）
「少し有名になったからといって、変わるつもりはない」
世界王座獲得後も、「ここがゴールじゃない」という佐藤選手は前向きな姿勢を変えていない。「いい気持ちになったらおしまい」の厳しい世界では、頼もしい限りである。
日本プロボクシング史上に輝くＶ１３の記録を誇る、偉大な先輩元ＷＢＡ世界Ｌフライ級チャンピオン具志堅用高選手。「青春の全てを燃やし尽くした」という言葉に、誰もが納得する具志堅選手は王座獲得後、次の目標をＶ７（当時の日本新記録）に置いた。
初防衛成功後から、試合後の八ワイ行きを定着させた金平正紀会長（協栄ジム・先代）だが、具志堅選手の生活ぶりは全く変わっていない。５度目の防衛戦までは風呂なしアパートで、飯田橋のとんかつ”ひろかわ”でアルバイト。
「ロードワークしたら、水道の水で汗流して、それからとんかつ店よ」(~~)
「会長が、そうしなさいって言ったからサ」(;^_^A
６００万円（推定・１ドル＝２４０円）の初防衛戦から始まったファイトマネーは、５度目の防衛戦では３千万円（１ドル＝２２５円）に上昇していた。
しかし、「会長は酒、タバコ、夜ふかしに女。車もだめだって」。そして、具志堅選手はそれを守り通した。
「具志堅さん、きゅうりは嫌いだって言ってるんですよね。会長が食べるなって言ったからって」
「それはいいことだ！」（大竹マネジャーはきゅうりが大嫌い）(^o^;)
「Ｖ５の後、ファミリーだからうちに来なさいと、赤坂のマンションへ引っ越した。洗濯も食事もやらなくて良くなったけど、それから勝たなくてはならないと一生懸命。その代わり彼女も作れないよ」f^_^;
首を鍛える具志堅選手。
恒例となっていたハワイ行きだが、リオスに勝った後もホノルル滞在はスタンレー・イトウ氏が管理するアパート。
「杉谷（実・元日本王者）の部屋にはＴＶがあったけど、俺の部屋にはなかったサ」(^_^;)
絶妙なまでに見事な環境作り。それに耐えうる素直な性格を見抜いていたからこそでしょうが、一途な具志堅選手の心は素晴らしい。
王者になって目標としたＶ７は、王座獲得後２年３ヶ月で実現させた。次に立てた目標は区切りの１０度防衛。これに成功すると、Ｖ１２（当時のＬフライ級防衛の世界新記録）を目標に切り替え、具志堅選手はひたむきにボクシング道を歩んだ。
「俺、やりたいこともやらずに我慢してボクシングに賭けたんス。みんな、これから遊ぶんだという夜の十時頃には寝て、朝は六時半に起きて走る。やめたいと思ったこともあったサ」
当時の協栄ジムトレーナー陣はチャンピオンをこう語っている。
「具志堅選手がこうなったのは、一にも二にも練習、練習、努力、努力」
「皆が彼の半分の努力をすれば、日本のボクシング界はこんなもんじゃありませんよ」
１９７９年には年間４度の防衛に成功。ハワイの体慣らしから始まり、一次、二次に渡るキャンプトレーニング。まさにボクシングずくめのチャンピオン。
「朝起きて、ロードワークするのがイヤになったら、もうおしまいスよ」
引退直後の具志堅氏はきっぱりと言い切った。そして、ボクサーを育てたいという元王者は続けた。
「技術的なことよりも私生活のあり方を仕込むね。ボクサーは外見がいくらよくてもダメ。内面を鍛えないと強くなれんからサ。だって、一対一で戦うんだもの。技術、体力以上に辛さをこらえる人間を作らないといかんス」
黒星デビューから８年をかけて世界の頂点に達した佐藤選手。頭の良いチャンピオンは、常に自分のテーマを持った練習をしている。やってみようと思ったことは、スパーでどんどん試す。したがって、４回戦選手相手によもやの被弾もある。
「オッ、当たった～！」(^O^)/
「もう、めちゃくちゃ効いたっスよ」(^-^)/
しかし、なぜもらったかを考えるから、ボクシングはどんどん修正されていく。ただ流すだけのスパーリングを続ける選手とは、この毎日の積み重ねの度合いが違ってくる。
来週からは、かつて「分が良かったとは思えない引き分け」（佐藤選手）を演じた相手、日本バンタム級３位ゼロフィット・ジェロッピ・瑞山（千里馬神戸・比国出身）選手を、スパーリング・パートナーとして東京に招き、最強挑戦者ロペス対策を練る。
佐藤「屈辱的だった」…“因縁の相手”とスパー対決へ（スポーツニッポン）
「洋太は人間が大きくなってきたなァ。それが、うれしいよ」（大竹マネジャー）
初防衛を果たし、さらなる高みを目指してほしい佐藤選手。
皆様、ご声援よろしくお願い申し上げます。
応援、深く感謝です！→
【TOP】
