粟生選手はライト級王座挑戦へ向けての前哨戦となる。ここは3階級制覇達成へ向け、存在感をアピールしたい。元王者の風格を漂わせながら、堂々のリングイン。
日本のファンには馴染みが深いサルガド。ホルヘ・リナレス(帝拳)を衝撃のファーストラウンドKOに葬ってWBA王座を手にしてから丸5年。この王座は初防衛戦で内山高志(ワタナベ)選手に奪われたが、その後IBFのベルトを獲得。2度の防衛を果たすも、昨年3月王座陥落。再起戦も落とし連敗中の元王者は、この試合に再浮上を賭ける。
いよいよ試合開始。
試合は大きなパンチを振ってくるサルガドを、粟生選手が裁くといった展開でスタート。
初回は粟生選手が奪い、好スタート。
しかし、2回からサルガドのラフなパンチにリズムが狂わさせられた。
2、3回と、力みが見られる粟生選手はサルガドにポイントを奪われた。
コーナーで葛西トレーナーの指示を聞く元王者。
粟生選手を悩ませたサルガドの左アッパー。
サルガドは右も上下に散らし、試合は拮抗した展開となった。
5回から徐々に動きが落ちて来たサルガドに、粟生選手はつけこんで行く。
しかし、「右も思ったより強く、警戒してしまった」と、思い切った攻勢に出ることは出来ない。
7回、疲れの見えるサルガドに粟生選手は左を打ち込みポイントを奪う。
中盤以降、試合を優位に進めた粟生選手だが、ここまでは物足りない展開。
試合はいよいよ最終ラウンド。ようやく、粟生選手らしい攻めを見せてくれた。
左を効かせた粟生選手はサルガドを猛攻。
メキシカンはダウン寸前。あと一歩まで追い詰めたが・・・。
判定は粟生選手。スコアは97-94、97-93、98-92の3-0。しかし、勝者の顔は曇ったまま。
「最後だけでした。全然ダメです。試合内容には全然納得いってません」
試合後、反省の言葉が口をついた粟生選手は、ライト級転向後4連勝(2KO)で、27勝(12KO)3敗1分。
30歳になった元2階級制覇王者のライト級王座挑戦は、どんなタイミングでやってくるのか。今後の動向に注目。