ボブ・アラムのトップランク社と契約、日本国内の興行権は帝拳プロモーションが持ち、所属するジムはフジTVの窓口である三迫ジムであるという、日本ボクシング界に今までにない新スタイルでデビューを迎えるロンドン五輪ミドル級金メダリスト村田諒太(三迫)選手。
その大きな期待に応えるかのようにデビュー戦相手は、東洋太平洋ミドル級&日本Sウエルター級の現役王者柴田明雄(ワタナベ)選手に決まった。73キロ契約のノンタイトル6回戦は、8月25日有明コロシアムで開催される。
アマボクシングの頂点に立った村田選手と、プロキャリア10年、辛酸をなめながらも王座にたどり着いたプロたたき上げ柴田選手。村田選手有利との見方が一般的だが、そう簡単な試合にはならないだろう。
かつてのメダリストたち、ローマ五輪(60年)銅の田辺 清 (田辺)選手、64年の東京五輪でバンタム級金メダルを獲得した桜井孝雄(三迫)選手、68年メキシコの銅メダリスト森岡栄治(高橋)選手らは、村田選手と同じく6回戦デビュー。
しかし、五輪はベスト8止まり(72年・ミュンヘン)だったにもかかわらず、「プロ向きで大いに将来有望」とされたのが、ロイヤル小林選手。極東、三迫、協栄、ミカド、SB川口、熊谷、国際ジムらが熱心なスカウト活動を展開したが、”ミュンヘンの星”はジム開設して間もない高橋美徳会長の国際ジムに入った。
プロテストで世界挑戦の経験もある岩田健二(金子)選手を倒した小林選手。
34勝(28KO)3敗。試合数はそれほど多いといえないが、驚異的なKO率を誇った小林選手のデビュー戦は8回戦。7連敗中、4年間勝ち星に恵まれていない元ランカーのバロン熊沢(大川)選手が相手に、ダウンこそ奪ったものの判定勝ちに終わっている。
「判定は勝ちじゃない」(高橋会長)
「あの相手にあの有様では・・・。全く期待を裏切られた」(関係者)
森岡選手のデビュー戦相手(2回KO負け)も務めた熊沢選手は、「森岡さんの方が強かった!」と控え室でまくし立てる。まるで勝者のような威勢のよさだった。
しかし当初、小林選手のデビュー戦相手に決まっていたのは、ケニアから神林ジムが輸入したフィリップ・ワルインゲことワルインゲ中山選手。メキシコで銅メダル(大会最優秀選手)、ミュンヘンでは小林選手と同じフェザー級で銀メダルを獲得。アマ戦績は168勝20敗。地元ケニアでは切手にまでなっている名選手である。
これが実現していたら大変な話題となっていただろうが、ワルインゲ選手の来日が遅れ、この黄金カードは実現せずに終わった。この時点で小林vsワルインゲ戦が実現していたら?
小林選手のデビュー戦は確かに不出来であったが、ワルインゲ選手もデビュー戦こそ元日本王者進藤公雄(アサクラ)選手に勝ったが、プロ入り1年間での戦歴は4勝(1KO)4敗1分。その後、Sバンタム級で日本王者となり、世界戦も経験することになるが、プロの水に慣れるまでは時間がかかった。
果たして村田選手は?
同じフジTVが力を入れるスーパールーキー井上尚弥(大橋)選手の存在も気になるであろう。柴田選手とのデビュー戦は大注目。楽しみですね!。
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