24日(日本時間25日)、メキシコシティで行われたWBC世界ライト級王座挑戦者決定戦。同級2位ダニエル・エストラーダ(メキシコ)と対戦した、日本期待の同級1位荒川仁人(八王子中屋)選手は、不可解な10回終了負傷判定負け。
この試合をリングサイドで取材した山田純夫氏からの詳細を報告します。
5回途中エストラーダが顔面を押さえてアクションをストップ。エディ・クラウディオ主審(米)は、ドクターチェックを促す。
写真ではエストラーダは左目尻から出血しているが、エストラーダが主張したのは右目へのダメージ。
試合は続行が告げられ、クラウディオ主審は偶然のバッティングによるダメージと判断。荒川陣営は「パンチによるものだ」と主張したが、その時点では変化無く、WBCルールにより荒川選手には減点1が課せられた。
しかしその直後、WBC、メキシコ・コミッションは、手元のモニターテレビでビデオにより問題のシーンを確認。その結果、エストラーダのダメージは荒川選手のパンチによるものと判断。”減点1を取り消し”とし、それをレフェリーに伝えた。
大相撲のビデオ判定による行事差し違えと同じような形。
7回に入りエストラーダの右目がふさがり始める。そして8回終了後、エストラーダの試合続行能力を懸念したクラウディオ主審は、「あと1、2回で試合を止めるかも」と、エストラーダ陣営に通達。
右目のダメージがパンチによるものと訂正されたことも知らされたメキシコ陣営は、TKO負けの可能性によるパニックに陥り、コミッション、立会人に「ビデオを見直せ」と抗議。9回がなかなか始まらない事態に陥る。
その後試合再開。10回終了後、レフェリー、ドクターは試合のストップに合意するとともに、エストラーダの右目のダメージは、「パンチでなく荒川選手の肘のヒットによるもの」と訂正される。
そして、荒川選手の5回の減点1が再度よみがえることとなり、試合の決着は負傷採点に負うところとなった。荒川陣営は猛然と抗議。「ビデオが真実を表現しているとは限らない」(中屋会長)。
12月2日からのWBC総会で、試合の見直しと再戦要求を出す模様。
負傷判定のスコアは、ナードン(米)98-92、ヤング(米)98-92、ウッドバーン(カナダ)99-91の3-0でエストラーダ。
二転三転のビデオ裁定。なんとも不可解です。
WBCでは昨年10月のLヘビー級戦。王者バーナード・ホプキンス(米)vs挑戦者チャド・ドーソン(米)の一戦で、TKOでドーソンが新チャンピオンの認定を受けたが、その後全会一致のWBC理事会裁定を受け判定変更。負傷引分けが宣告され、王座はホプキンスの手に戻るということもあった。
WBCにはしっかりとした裁きを期待したい。
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