元WBA世界Sウェルター級暫定王者石田順裕は、JBCへ引退届けを提出し、5月1日ロシアでJBC(日本)非公認のWBO世界ミドル級王座に挑戦する。
”闘魂”石田選手。
現在、国内プロボクシングを統括する唯一の機関であるJBC(日本ボクシングコミッション)は、WBA(世界ボクシング協会)正規、WBC(世界ボクシング評議会)王座に限り世界戦を公認。後発のIBF(国際ボクシング連盟)、WBO(世界ボクシング機構)世界王座は、王座統一戦に限り国内開催を認めている。
日本プロボクシング協会(大橋秀行会長)は、昨年12月23日の理事会で、日本未公認のWBOとIBFへの加盟をJBCに要請する方針を固めた。
大橋会長は、 「キッズボクサーが増える中、テレビで(WBO世界ウエルター級王者)パッキャオとかスターを見て、何で日本は(WBOとIBFに)挑戦できないのか不思議に思うかもしれない。時代の流れ」と説明。2012年度中の正式決定を望んでいるが、王者乱立を懸念し「挑戦資格を厳しく決めて」からとした。
現在世界のプロボクシング界は、上記4団体の世界王座をメジャータイトルとして容認(WBA暫定は除く)している。
ピログ。
国内でまだ体制が出来ていない中、WBO世界ミドル級王者ドミトリー・ピログ(ロシア)側から挑戦のオファーを受けた石田選手は、「国内のリングには立てなくなりますけど」とJBC脱退を決意。フリーの身で、モスクワのリングに立つ。
1984年、IBF初代世界バンタム級王者となった新垣 諭 (奈良池田)選手は現在でもJBC非公認。2度目の防衛戦でオーストラリアへ飛んだ王者は、後3階級制覇の名王者となるジェフ・フェネック(豪)に王座を空け渡す。
当時20歳のフェネックは6戦全勝オールKO勝ちのオリンピアン。「負けてもいいから、少しでも強い人間とやりたい」という新垣選手と、「新垣を世界王者として遇してくれる所で防衛戦をさせる。それが新垣の為だ」とする池田会長の思惑は一致。悲痛な決意での戦いでありました。
石田選手が挑む王者ピログは、19戦全勝(15KO)の31歳。身長185センチ、リーチ178センチのオーソドックス・スタイル。しかし、やや変則的。
2010年7月、ラスベガスの大舞台でダニエル・ジェイコブス(米)と無敗対決。空位のWBO世界ミドル級王座を争い、リードされながらも5回逆転のTKOで王座獲得。
この試合までパンチはそれほどでもと思われていたピログだが、改心の右カウンター一発の勝利。
その後は、2011年3月初防衛成功、9月に2度目の防衛に成功しているが、以降は今度の試合までブランクが続いている。体格的にも身長で1センチ、リーチで5センチ石田選手が上回るのも好材料。
ピログはジェイコブスのアウトボクシングに苦戦の様相を呈していただけに、石田選手が変則スタイルに惑わされず、スタミナ負けしなければ十分勝機はあると見る。ポール・ウィリアムズ(米)戦もポイント差こそついたが、ボクシング自体は「良くなってましたよ」。
WBOはピログの長期戦線離脱で、この試合の成立前から暫定王座の設置を決めている。5月4日(現地時間)、仏で暫定王座を争うのは、WBA同級暫定王座を戦わずして放棄した、26戦全勝(17KO)ハッサン・ヌダム・ヌジカム(仏)と、同級1位で24勝(10KO)1分無敗のマクシム・ブルサク(ウクライナ)。
ピログvs石田戦の勝者は、暫定王者との王座統一戦が義務つけられる。このあたりはWBAと違い、WBOはしっかりしています。(^-^)/
1年前、ジェームス・カークランド(米)をショッキングな初回KOに破り、オスカー・デラホーヤを驚かせた石田選手。
ベルトを獲得し、再びデラホーヤと再会する日を期待したい。勇気ある挑戦が、日本ボクシング界の歴史を塗り変える勝利になることを。そして、日本のファンにその勇姿を見せる日が来ることを、心から望みます。
楽しみな一戦です!
応援、深く感謝です! 【TOP】