3日後楽園ホール。無敗のOPBFスーパーフライ級王者赤穂 亮 (横浜光)選手に、私の弟子白石豊土(協栄)選手が挑戦した。8月4日の試合翌日から、例によって練習に来た白石に、「OPBFやれるかもしれないよ」という話し。
指名試合となる王者の初防衛戦は、上位陣が辞退し、白石まで順番が回ってきた。
「やりたいです!」
そんな最中、三迫ジムさんからのお声がかりでスパーリング出稽古の機会に恵まれた。戸部洋平選手、椎野大輝選手らとのスパーリングは、大変よい勉強になった。ありがとうございました。
「お金があるところは違うなァ」(^_^;)
その後、ケガも病気もなく、スパーリング中心の良いトレーニングが出来た。初のタイトルマッチ、強い相手にどう立ち向かうか。「やれば面白いとおもうけどね」('-^*)/
控え室は初めての個室。
「白石、お前いくつになった?」
「25です」
「じゃあ、あきべぇと同じか」
「はいそうです」
「なんだ、あきべぇはずいぶん遠回りしたと思ったけど、お前はもっと遠回りかよ」(^O^)/
「・・・」(^_^;)
元世界王者坂田健史氏が顔を見せた。
「お前が勝ったら挑戦状出すってよ」(^O^)/
「白石、よろしく!」('-^*)/
グローブを付け左ジャブを打たせる。これは大丈夫。力みもなく、リラックスしてる。今までで一番いい。心は大丈夫。何も言うことはない。
「いいか、一生懸命やれよ!」
試合は立ち上がりから白石選手が前進。迫力満点の王者のパンチは空を切る。「いいぞ、白石。いい展開だ!」。こうならないかと思っていた展開が、試合開始早々から訪れた。
「この回は取ったぞ」。初回終了後、大竹マネジャーのアドバイスにもしっかりとうなずいた白石選手。
しかし2回、赤穂選手のパンチで左目尻をカット。そして3回には前頭部をカット。激しい出血に見舞われた。浦谷レフェリーが、傷を覗き込む。
「バッティングでしょ」
”ヒッティング”のパンチポーズの浦谷レフェリー。
「エッ、ホント」
大きな傷ではないのだが、静脈が切れてるようで出血はいっこうに止まらない。
「見えにくいか」
「ハイ、目に入ると見えにくいです。だけど大丈夫です!」
4回が終わって途中採点がコールされる。
「39-37、38-38、40-36。二者がチャンピオン赤穂選手のリードです」
「エッ~、ホントかよ。いくらなんだって、40はないだろ」
出血はいっこうに止まらないが、中盤戦、白石はよく戦っている。それでも、もっとボディを打ちたかった。しかし、チャンピオンのパンチはすさまじい。ブロックしても、よろけたように見えるのは見栄えが悪い。だが、息は全く上がっておらず、スタミナはまだ十分ある。
8回を終わり、スコアは2差一人、4差二人で赤穂選手リード。
「坂田だってアゴ割られてから、アレだけやったんだ。ここからだ!」
「もう大きいの振ってくるだけだから、小さく早く、真っ直ぐに!」
第9ラウンド1分24秒。ついに試合は停止された。あれだけの出血ではこれも仕方ない。「よく我慢してくれたよ」。
赤穂選手、強かった。パンチも凄いが、心も強い。
勝者がリング上で勝利者インタビューを受けている頃、敗者は記者のインタビューを受けていた。重たい空気。ひとしきり質問が終わり、去っていく報道陣に向い、立ち上がった白石選手は「絶対、また頑張りますんでよろしくお願いします!」と声をあげた。
「今日はよく頑張った。いいもの見せてもらった。感動した!」
いつもは辛口の大竹マネジャーが敗者をねぎらう。
「でも、悔しいです。勝ちたかったです」
敗者は号泣。
「坂田だって何回も悔しい目にあって来たんだ。まだこれからだ。頑張れよ!」
強いチャンピオン赤穂選手との対戦で、白石は大きく成長してくれたと思う。結果がついてこなかったのは、残念だけど、強い心を見せてくれた。これでやっとボクサーとして形になったと感じる。そして、「もっとやれる」の感触はある。
白石選手からメールが来た。
「悔しいです。
昨日、あんなにたくさんの応援をもらったのに、期待に応えることができず、申し訳ないです。
でも、泣き言いって、メソメソなんてできません。
期待に応えれるよう、反省生かして、頑張ります」
ケガしたので、明日からジムでの練習はちょっと出来ませんが、これまでの27戦、勝っても負けても試合翌日からジムで動く男は、きっと頭の練習してくれると思います。結果を付けてあげることは、私の責任。こっちも頑張ります!
ご声援いただきました皆様、本当にありがとうございました。また、頑張ります1
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